キヤノングループの企業理念は「共生」です。私たちはこの理念のもと、文化、習慣、言語、民族などの違いを問わず、全ての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける社会を目指します。そのため、個人の幸福の一部であり会社の資源でもある「健康」を守り育てる環境づくりを行います。従業員の健康保持・増進の取組が企業の体質を高めることと考え、健康管理を経営的視点から戦略的に実践します。
キヤノン化成の健康経営組織体制は、健康経営責任者を代表取締役社長とし、安全衛生課、人事課が事務局となり、健康経営の計画や進捗確認などを行い、その内容を定期的に行う部長会の中で経営層と情報共有をしながら取り組んでいます。各課から健康経営推進委員を選出し、健康経営に関する教育を行っています。毎月連絡会を開催し、健康経営施策に関する意見や実施方法などを話し合い、課内での周知や社内での施策実施に向けた取り組みを実践しています。
キヤノン化成には、肥満率が高い、喫煙率が高い、がん検診の受診率が低いという健康課題があります。これらの健康課題は生活習慣やヘルスリテラシーが影響しています。従業員の健康状態の悪化は、プレゼンティーズムの原因となる疾患に関連し、従業員のパフォーマンスの低下に結びつきます。従業員の健康に関連した損失としては大きな割合を占めるので、その対策が重要になります。従業員の生産性を把握するために、健康診断の問診票で、アブセンティーズム、プレゼンティーズム、ワークエンゲージメントの調査を実施しています。
パフォーマンス指標 | 目標値 | 年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|---|
測定人数 | 1596 | 1516 | 1441 | ||
実施率 | 100% | 100% | 100% | ||
アブセンティーズム | 病気やケガでの休暇取得日が2.5日以下 | 4.8 | 2.8 | 4.0 | |
プレゼンティーズム | 自身の仕事の出来が90%以上 | 87.3 | 87.1 | 86.7 | |
ワークエンゲージメント | 活力と熱意の項目の平均が2.8以上 | 2.66 | 2.71 | 2.69 |
項目 | 目標 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|
定期健康診断受診率 | 100% | 100% | 100% | 100% |
事後措置実施率 | 100% | 51.3% | 100% | 100% |
ハイリスク者管理率 | 100% | 100% | 100% | 100% |
特定保健指導実施率 | 50% | 18.3% | 24.0% | 27.3% |
適正体重維持者 | 70% | 61.7% | 61.1% | 61.3% |
運動習慣のある人の割合①
|
50% | 29.4% | 31.5% | 32.8% |
運動習慣のある人の割合②
|
80% | 85.3% | 88.7% | 88.5% |
睡眠による休養がとれている人の割合 | 70% | 67.2% | 68.7% | 70.0% |
喫煙率 | 20% | 32.8% | 30.6% | 30.1% |
ストレスチェック受検率 | 95% | 94.3% | 95.8% | 96.4% |
高ストレス者率 | 16% | 19.2% | 15.3% | 15.6% |
がん検診受診率(40歳以上) | 50% | 14.0% | 24.2% | 37.0% |
女性の健康に関するe-learning | 100.0% | - | - | 100% |
2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|
平均月間総実労働時間 | 140時間 | 145時間 | 149時間 |
平均月間所定外労働時間 | 5時間 | 8時間 | 7時間 |
平均年次有休取得日数 | 13.4日 | 14.5日 | 15.3日 |
平均年次有休休暇取得率 | 68.4% | 73.8% | 77.4% |
2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|
退職者離職率 | 3.3% | 3.7% | 3.8% |
退職者平均勤務年数 | 13.9年 | 18.2年 | 16.1年 |
新任課長研修で、会社におけるメンタルヘルス対策の意義や部下の不調に気づくためのポイントなど部下の健康管理に関する知識を提供し、管理職の役割を教育しています。定期的にメンタルヘスに関する教育を実施しており、ストレスチェックの前には、ストレスチェックの理解を促すためにe-learningを実施しました。(対象者82名、受講者75名、受講率91.5%)また、ストレスチェックの集団分析結果を職場内で共有し、職場環境改善活動を実践しています。
休職者には、復職支援プログラムに基づき、健康支援室スタッフや人事や管理職と連携して無理なく復職できるよう支援しています。休職者が早期に復職できるよう、病院内のリワークプログラムも活用し、医療機関と情報共有を図りながら、共に支援を行っています。復帰後も産業医や健康支援室スタッフと定期的に面談を実施し、フォローアップを行っています。
健康診断における有所見率が高いため、事後措置に力を入れ、重症化予防に努めています。社員に健康診断結果の出力方法を周知し、自分の結果をしっかり理解し、受診が必要かを自分で判断できるよう働きかけを行っています。受診が必要な人に対しては、受診期間を設け、受診結果報告書の提出を促しています。報告書の提出がない場合は、受診勧奨を行い確実に受診をするようにフォローを徹底しています。
健康保険組合が毎年春と秋に開催するウォーキングイベントの積極的な参加を促しています。ウォーキングイベント前に、事業所周辺のゴミを拾う清掃ウォーキングも合わせて開催し、運動前のストレッチの方法、歩き方やなどをレクチャーしています。ウォーキングイベントはICTツールを活用して実施し、社内でチームを作り歩数を競うチーム対抗戦を行うことで、コミュニケーションを図ったり、運動習慣のきっかけづくりとなる働きかけを行っています。ウォーキングイベントの参加者を増やすために、推進委員に参加を促すように職場に働きかけをお願いしています。参加者の数は年々増加しています。
年 | 実施時期 | ウォーキングイベント | 清掃ウォーキング | |||
---|---|---|---|---|---|---|
参加者 | 参加率 | 日程 | 参加者 | 参加率 | ||
2020 | 春 | - | - | - | - | - |
秋(10/21-11/20) | 110 | 5.8% | 10/2 | 60 | 3.2% | |
2021 | 春(4/27-5/31) | 157 | 8.4% | 5/26 | 79 | 4.2% |
秋(11/1-11/30) | 186 | 10.2% | - | - | - | |
2022 | 春(4/28-5/31) | 294 | 16.5% | 5/25 | 67 | 3.8% |
秋(11/1-11/30) | 403 | 23.1% | - | - | - |
喫煙率が高いことを踏まえ、健康保険組合のオンライン診療による禁煙治療や禁煙補助薬の費用補助があることを周知し、禁煙プログラムの参加を促しています。参加を促すために、実際にプログラムに参加して禁煙できた人のエピソードを伝えて、禁煙プログラムの良さをわかってもらうような働きかけも行っています。また、禁煙に成功した人がその後も禁煙が続くように継続的に支援しています。
一定年齢(30歳、40歳、50歳)に達した人にはe-learningでその年齢に応じた健康上の注意点を学習する機会を提供することによって、自己管理を促しています。
項目 | 目標 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|---|
年代別教育:30歳代 | 100% | 89.8% | 100% | 100% | 100% |
年代別教育:40歳代 | 100% | 93.6% | 100% | 100% | 100% |
年代別教育:50歳代 | 100% | 98.4% | 100% | 100% | 100% |
がんの早期発見と早期治療につなげるため、がん検診の必要性を周知したり、相談会を開催するなど受診サポートを行っています。また、受診率を高めるため、がん検診に関するアンケートを行っています。アンケート結果から、がん検診を受診したくない理由を把握し、その理由を取り除けるようにサポートしています。
キヤノングループは、RBA行動規範を採用した「キヤノンサプライヤー 行動規範」を策定し、労働・安全衛生・環境・倫理・マネジメントシステムなどに配慮した調達活動をサプライヤーとともにグローバルサプライチェーン全体で推進しています。さらに、2次サプライヤーに対しても、1次サプライヤーを通じて本行動規範への理解・遵守を要請しています。
事業者が労働者の協力のもとPDCA(Plan=計画、Do=実施、Check=評価、Act=改善)という一連の過程を定めて自主的な安全衛生管理を進め、労働災害の防止と従業員の健康増進、および働きやすい職場環境づくりの継続的な取り組みを実践しています。
事業所ごとに毎月、総括安全管理者のもと労働組合代表と会社代表が集まって安全衛生委員会を実施しています。委員会では、年間の安全衛生・健康増進活動の計画の作成、進ちょくや活動結果の共有を行っています。また労働災害が発生してしまった場合には、他の職場で類似災害が発生しないように事例の共有や、再発防止のための対策を協議しています。
職場潜在的な危険性または有害性等を調査し、その結果に基づいてリスクを適切に管理することによって、従業員の安全確保と健康障害の防止を図っています。
リスク低減措置を検討し、実施した結果、最終的なリスクレベルがA、BまたはCに該当する場合、残留リスクの管理を行っています。残留リスクの管理として、作業前のリスク確認、作業手順書の整備、作業者への教育、職場への残留リスクの掲示などを行っています。
リスク低減措置の検討および実施の結果、最終リスクレベルがD・なしの場合は「許容できるリスク」として「安全」と判定し、A・B・Cの場合は残留リスク管理を行っています。残留リスクの管理としては、事前通知、作業手順書の整備、作業者への教育、残留リスク表示の掲示などを行っています。
社員が重大交通事故を起こさないように、スピード注意やシートベルト着用の呼びかけ運動や交通安全ポスターの掲示などの活動に取り組んでいます。
飲酒状態の体験ゴーグルを着用した体験など飲酒運転の危険性を理解してもらうための展示会や定期的な教育、職場ディスカッションを通じて、飲酒運転根絶を継続していくための活動を実施しています。
防火防災訓練
火災や地震を想定した総合避難訓練を定期的に実施しています。従業員の避難訓練のほか自衛消防組織が組織的に活動できるよう訓練を行っています。その他にも消火栓や消火器を実際に使用した防災設備訓練も行っています。
救出救護訓練
火災や地震等の有事の際に負傷者が発生した場合、迅速な応急処置ができる訓練として、自衛消防組織隊の救出救護班を対象に、担架や三角巾の使い方等の訓練も行っています。
産業ロボット研修や低圧電気取扱研修をはじめ、必要な教材と実機装置を活用した教育を行い、従業員が生産現場で安全・安心に働ける環境を整えています。